こんにちは、量子コンピューターといい技術の進歩の速さに目を丸くしているハッシュ(@e_hash104)です。
今回は、Googleがついに 量子スプレマシー を達成したという記事がFT(ファイナンシャルタイムズ)に掲載されたことを受けて、仮想通貨(暗号資産)の安全性と将来性について切り込んでみようと思います。
今回の記事が役立つ人は、以下のようなみなさんです(*^o^*)
- 量子コンピューターって耳にするけど無視してきた
- 安全って聞いていた暗号通貨も解読されてしまうのか心配
- 『量子耐性』って何と思った
- 既に安全性が確保されている通貨ってあるの?
量子コンピューターはどこまで進歩しているのか
量子コンピューターという名前自体は、みなさんもずっと前から耳にしていたと思います。理論自体は1982年に提唱されたもので、以降GoogleやNASA、CIAなどがその実用化に向けて力を注いで来ました。
ここ1〜2年でその実用化への道のりが具体的に見えて来て話題になりだしているのです。特に今回のGoogleが成し遂げた進歩は本当に量子コンピューターが私たちの生活に影響を及ぼしてくることを予感させるできごととなりました。
IBMは『IBM Q』というプロジェクトで量子コンピューターを開発
IBMといえば、2018年12月に発表した既存のスーパーコンピューターの演算処理能力をついに上回ったというレポートで一気に注目を集めました。
ちなみに、量子コンピューターの処理能力は最高スペックであるスーパーコンピューターの約1億倍とも言われており、その差はどんどん開くばかりです。
ただ1つだけ注意点があります。この時にIBMによって採用された処理能力比較に用いられた手法というのが、同じ処理能力を延々と繰り返すことで処理速度を競ったものです。
つまり、あくまでも同じ作業を繰り返しただけであり、本当に必要とされるマルチタスクや複雑な演算処理ではないという点だけ覚えておいてください。
それでも、マイルストーン としては素晴らしい1歩であることは間違いありませんね!
Googleの量子コンピューターが成し遂げたことのスゴさ
ひとことで言い表すと、Quantum Supremacy(量子超越性)を実証したということです。
この記事はあのNASAのウェブサイトに掲載されて見ることが可能だったのですが、すぐに削除されてしまった幻の記事です。
そこに書かれていた内容とは、現在のスーパーコンピューター最高機として知られるサミット(Summit)でも1万年かかると言われている計算をたったの3分20秒で終えたようです。
最初から最後まで、量子プロセッサー上だけで計算された唯一の実験だったことも注目すべき点です。
ハッシュのブログではこれ以上技術的なことには踏み込みませんが、今まである意味量子コンピューターが勝って当然という土俵で勝負していたものが、その精度なども含めて既存のスーパーコンピューターを大きく上回ってきたという点だけ覚えておいてくれたら大丈夫です。
量子コンピューターによって仮想通貨のセキュリティが揺らぐ
仮想通貨は暗号化技術に裏付けられたものであることはもういいですかね?
複雑な演算処理を持ってしても 復号 できないことが仮想通貨が安全たる所以(ゆえん)だったわけですが、それが量子コンピューターによって複雑な計算を素早く行われてしまうことによって暗号が解かれてしまう可能性が出てきているのです。
仮想通貨のありかは 公開鍵 によってオープンになっているわけです。「公開鍵暗号方式」と呼ばれているものです。秘密鍵 さえ解読されてしまえば、中身はもう奪われてしまったも同然です。
例えるならば、お財布の場所は誰もが知っているけど、その暗号化された鍵を開けることが技術的に不可能だから守られているようなかんじです。
その大前提がスーパーコンピューターの登場によって崩されてしまう可能性が大きくなってきたということです。仮想通貨やブロックチェーンの魅力でもあるそのオープン性質が、逆に脆弱性になってしまうかもしれないというのです。
では、量子コンピューターが実用化されたら仮想通貨は根こそぎ盗まれてしまうのでしょうか?答えはNOです。量子コンピューターをもってしても解読できないようにすること、もしくは解読するのにもの凄く時間がかかるようにすることは可能なのです。
それを『量子耐性』と呼んでいます。
『量子耐性』とは?
ズバリ、量子コンピューターによって解読されない、もしくは解読されるのにもの凄く時間がかかる特性を備えるようにすることです。
具体的には、以下の5つが考えられます。
- 秘密鍵をより長く複雑にする
- ハッシュ関数を複雑にする
- 既存の2進法に対しあえて3進法を使って秘密鍵を作る
- 意外とシンプルにワンタイムパスワードを採用する
- ランポート署名を採用する
これら全てを採用しなくてはいけない訳ではありませんので、しっかりと対策をとった通貨は当面は大丈夫だと考えられます。
『量子耐性』の無い仮想通貨は安全じゃ無いの?
現時点で量子耐性がなくてもすぐに問題になることは無いでしょう。ただし、それは時間の問題であるのは間違いありません。
結論からいえば、量子耐性のない通貨は安全では無い!と断言できるでしょう。今後は量子耐性の有無というのも、その通貨の評価に大きくかかわってくると思います。
いづれCoinGeckoやCoinMarketCapの評価基準にもあがったりするのでしょうかね^^
いつ頃までに対策が必要なの?
Googleの研究者たちが言うように、量子コンピューターの能力は倍以上の急速な加速度をもって成長しているので、その対策は早いに越したことがないとしか言えないのではないでしょうか?
一説には、2027年までに量子コンピューターが秘密鍵を解読できるようになるという説もあるようですが、ハッシュはもっと早くその時は訪れるのではないかと考えています。
IBMはすでに量子コンピューターの商用機を2019年1月に発売済みですし、その広まりは思っている以上に早いのかもしれません。
どんなことにも言えますが、目の前に明らかにリスクと分かる危険があるのですから、その対策を遅くする理由はありませんものね。
コイン もそうですが、トークン を取り扱う運営母体は更にその責任があると思います。
あのEtheriumは今後3〜5年の間に量子耐性を実装すると明かしています。
『量子耐性』のある仮想通貨ってすでにあるの?
はい、すでにいくつも存在します!
以下がそのリストとなります(アルファベット順)
- ADA(Carcano)*
- ADK(Aidos Kuneen)
- HC(HyperCash)*
- HSR(HShare)
- IOC(I/O Coin)
- IOTA(MIOTA)*
- MCM(Mochimo)
- NEO(NEO)*
- NXS(NEXUS)*
- QRL(Quantum Resistant Ledger)
- QTUM(Qtum)*
- XSH(SHIELD)
聞いたことがない通貨も多いのではないでしょうか?ハッシュも調べてみて初めて目にしたものも半分くらいありました!
これらは国内の取引所ではほとんど取扱がありません。まぁ、これから仮想通貨に本気で取り組んでいこうと考えるならば、バイナンスを大人しく開設することをお勧めします。「*マーク」が付いているものは、バイナンスにて取扱のある通貨です!
量子耐性と仮想通貨の今後
今後は、間違い無く量子耐性を備えていることが必須となってくるのは間違いないでしょう。
ですが、量子耐性だけがウリの通貨っては意味がありませんよね?そもそも、今後は量子耐性が無ければ間違い無くどんな技術も駆逐されていくでしょうからね。
プロジェクトにとって大事なのは、どんな世界を作り出していこうとしているのかだとハッシュは考えています。しっかりとしたビジョンとコンセプトがないプロジェクトは、いづれ廃(すた)れていくでしょうからね。
今後は、『量子耐性』という1つの要素も注目していくと、より将来性のあるトークンやコインに巡り逢えるのではと考えています。
量子コンピューターは、その設置環境の影響を受けやすくシビアな取扱が求められる上に、まだまだエラーを起こしやすい状態にあるのが現状です。また、現状では特定のタスクに対してスーパーコンピューターより早く処理できるということがやっと実現した段階です。
量子コンピューターがいきなり既存のコンピューターたちに取って代わるようなことはないでしょうし、その実現にはまだまだ時間がかかると思います。
まぁ、短期的な投機目的ならそれもアリですがね。では、今後も様々な技術を吸収して成長していく仮想通貨に期待していきましょう!